私は生後から17年間、虐待を受けて育ちました。

今でこそ夫と3人の子供に恵まれ幸せに暮らしていますが、虐待を受けていた当時は毎日が地獄のようでした。

 

ニュース番組や新聞などでは連日痛ましい虐待の事件が報道され、幼い命が奪われていますが、私はそのような事件を目にするたび、「自分も死んでいたかもしれない」と心を痛めてしまいます。

 

児童虐待は世界的にも大きな社会問題であり、一人一人が問題意識を持って解決していかなければなりません。

虐待問題研究所では、世の中から虐待をなくし、一人でも多くの命を救うため、虐待防止を目的とした啓発・啓蒙活動を行なっています。

 

 

虐待の背景

男女共同参画社会と叫ばれている今日でも、子育てとなるとやはりまだまだ母親の仕事となることが多く、子供と接する機会が多いのはお母さんです。

事実、世の中で発生する虐待事件を見てみても、虐待する確率が一番高いのがこの「お母さん」なのです。

子育てとは大変な仕事であり、そこから生まれるストレスも決して小さくはありません。そういったストレスが積み重なり、虐待という行動に出てしまうのです。

 

虐待には必ず原因があります。

まさか「虐待してやろう」などと思って生まれる人なんて一人もいないはずです。

メディアの報道では起きてしまった虐待事件そのものにスポットが当てられますが、その背景にはそれぞれ複雑な事情があるはずなのです。

本当に目を向けるべきは虐待の起きてしまった「背景」であり、その原因を研究することが、虐待の発生防止のために重要なことなのです。

 

 

 

「大人たち」を救いたい

虐待事件となると、どうしてもその被害者となる子供にばかり目が行きがちです。

しかし、子供に罪はありません。虐待をしてしまうのは大人であり、本当に目を向けなければならないのは大人たちなのです。

子育てのストレスや、経済的な困窮、人間関係の疲れなど、虐待をしてしまう背景には様々な事情があります。一人の大人を取り囲むそれらの環境が、不幸にも虐待という形で子供たちに降りかかってしまうのです。

 

虐待問題研究所では特にそういった大人たちに目を向け、大人たちを救うことが、将来的な虐待の発生防止に繋がると考えています。

 

 

 

虐待は連鎖しない

世の中で起きる虐待事件を見てみると、子供に虐待をしてしまう親自身にも、幼少期に親から虐待されていた経験があるというケースが多く見られます。

そのことから「虐待は連鎖する」と言われ、あたかも目に見えない呪いのように、「自分も虐待してしまうのではないか」と不安を抱く親御さんが多くいらっしゃいます。

 

しかし、長い間虐待を受けてきた経験のある私自身、現在家族5人で暮らしていますが、虐待をしたことはありませんし、これからも絶対に虐待をすることはないでしょう。

それはなぜかと言うと、虐待というものがどういうものなのか知っているからです。

 

私は世の中の親御さんや大人たちに「虐待は連鎖しない」と強く啓発し、虐待のない明るい未来を実現したいと考えています。

 

 

NPO法人 虐待問題研究所 代表理事

上原よう子

 

 

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